性感染症STD(性病)について
性感染症(STD)は、主に性的接触によって広がる感染症の総称です。感染源となる病原体には様々な種類があり、症状の有無や重さは患者様によって異なります。無症状のまま他者へ感染を広げてしまうケースや、気づいた時には病状が進行していることもあります。
主な性感染症には、クラミジア、淋病、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、HIVなどがあり、性交やオーラルセックスなどで粘膜が接触する性的行為全般で感染します。近年では、クラミジア、淋病、梅毒の感染率が特に増加しています。
性感染症の主な症状
かゆみ・痛み・分泌物の異常・喉の痛み・発疹などの症状が出ることもありますが、実際には症状が全く現れないケースも少なくありません。感染しているかどうかは、検査を受けない限り判断できず、自然治癒は期待できないため、必ず医療機関で適切な治療が必要です。
特にパートナーがいる場合は、互いに感染を繰り返してしまう「ピンポン感染」になる恐れがあるため、ご一緒に検査・治療を受けましょう。
女性の主な症状
- 性器のかゆみや痛み
- ヨーグルト状のおりもの
- おりものの異臭
- 不正出血
- 排尿時の痛みや違和感
- 性交時の痛み
- 喉の痛み
- 発熱
- 発疹
- 食欲不振、倦怠感、吐き気など
男性の主な症状
- 性器から膿が出る
- 性器のかゆみ
- 睾丸の痛みや腫れ
- 排尿時の痛み
- 排尿後の残尿感
- 亀頭に白いカスが付着する
- 喉の痛み
- 発熱
- 食欲不振、倦怠感、吐き気など
当院が行う性感染症の検査一覧
感染機会から24時間以上経過すると、淋菌、クラミジア、カンジダ、トリコモナス、マイコプラズマ・ジェニタリウムなどの性感染症の検査が可能です。
また、採血による検査は感染から3週間以降に受けることができます。
カンジダ
カンジダとは
カンジダ・アルビカンスやカンジダ・グラブラータという真菌が膣内で過剰に繁殖することで発症する感染症です。慢性的な疲労、妊娠中、糖尿病などで免疫力が低下している方ほど発症しやすくなります。
症状
- 外陰部のかゆみや痛み
- ヨーグルト状の白く半固形なおりもの(慢性化するとおりものの量が減少)
おりものが減ったから治ったと判断せず、症状があれば早めの受診が大切です。
検査
綿棒などで膣分泌物を採取し、培養検査します。
淋菌
淋菌とは
淋菌という細菌が粘膜に感染することで発症する性感染症です。近年ではオーラルセックスの一般化により、女性の咽頭への感染が増加傾向にあります。
症状
- 黄色いおりもの
- 排尿時の違和感
- 外陰部の腫れ
- 外陰部のかゆみ
※症状が出ないまま慢性化することもあり、進行すると骨盤内に炎症が広がり、強い下腹部痛を引き起こすことがあります。
検査
PCR検査によって、淋菌の有無をチェックします。
クラミジア
クラミジアとは
クラミジア・トラコマチスという細菌が、子宮内や咽頭の粘膜に感染することで発症する性感染症です。国内で最も感染者数が多く、頻繁に見られる性感染症の一つです。
症状
- 水っぽいおりもの
- 排尿時の違和感や痛み
- 下腹部の痛み
- 不正出血
※これらの症状がほとんど現れないまま進行するケースも多く、早期発見が重要です。
検査
PCR検査により、粘膜にクラミジア菌が存在するかどうかを確認します。
梅毒
梅毒とは
トレポネーマ菌が皮膚や粘膜の傷口から体内に侵入することで感染し、梅毒を発症します。症状が現れるまで3週間~3ヶ月ほどかかり、男女ともに無症状のケースもあります。
症状
- 性器・肛門・唇などへのしこり
- 全身の発疹やできもの
- 太ももの付け根(鼠径部)のリンパ節の腫れ
※梅毒には進行段階があり、それぞれ「第1期梅毒(感染後3週間〜3ヶ月)」「第2期梅毒(感染後3ヶ月〜3年)」「第3期梅毒(感染後3年以上)」と分類されます。
検査
血液検査により、梅毒感染の有無を診断します。
性器ヘルペス
性器ヘルペスとは
単純ヘルペスウイルス(HSV)が性器に感染することで発症する性感染症です。このウイルスは性器のほか、口や目にも感染する可能性があります。
症状
- 外陰部や膣にできる水ぶくれや潰瘍
- 発熱や倦怠感など
- 排尿時の痛み
※水ぶくれは破れやすく、潰瘍になると痛みが強くなり、歩行や座るのも困難になることがあります。
検査
血液検査により、梅毒感染の有無を診断します。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとは
ヒトパピローマウイルス(HPV)が性器に感染することで発症する性感染症です。
症状
- 外陰部に弾力のあるイボが出現
- イボが増殖する傾向
- かゆみや性交時の痛み
- カリフラワー状のイボができる
検査
肉眼での視診により診断可能です。必要に応じて組織を採取して病理検査を行うこともあります。
HIV/AIDS
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)・AIDS(エイズ)とは
IV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、その後に23種類の代表的な疾患のうちいずれかを発症すると、AIDS(後天性免疫不全症候群)と診断されます。
症状
- 発熱、発疹
- 倦怠感
- 筋肉痛
- リンパ節の腫れ、痛み
上記症状は数週間後に、一旦症状が治まることがあります。また、無症候期(感染後数年〜10年)になると、ウイルスは増殖を続けますが、免疫により症状が表面化しません。しかし、発症期になると、23種類の疾患のいずれかに罹患し、AIDSの診断が下され、その病気の症状が出ます。
検査
HIV抗体スクリーニング検査を実施します。検査は、感染が疑われる日から3か月以上経過してからの検査が推奨されます。「陽性」または「要確認検査」であった場合には確認検査を行い、そこでも陽性だった場合には、確定診断がつきます。
他の性感染症と合併している場合は、スクリーニング検査を保険適用で受けることが可能です。